
先日、夜の読み聞かせ時間のことです。妻が喉を痛めていたので、子どもが『AIがやってくれるよ!』とタブレットを手に取りました。
AIが作った宇宙探検の物語に、最初は目を輝かせていた子ども。
「パパ、このロボット…お友達を選り好みしてるみたいで悲しい」
ロボットに選ばれない友達がいるなら、どんな気持ちになるだろう?
その一言が胸に刺さりました。完璧な物語を作るAIと、どこか不器用だけど温かい人間らしさの間で—私たち親はどうバランスをとればいいのか。
妻と話し合った気づきを共有します。
疲れを知らないAIストーリーテラー
どんなに長い物語でも、AIは疲れることなく読み続けてくれます。
10匹の魔法の生き物が出てくるお話でも、声色を変えずに完璧にこなす姿には感心しますよね。
でもふと気づいたのです。AIの作る物語はいつも計算し尽くされていて、予測不可能な面白さが少ない。まるで完璧に舗装された道のようで、子どもが『わぁ!』と飛び込む水たまりや、予期せぬ花畑がないことに。
先週、物語の途中で妻が思いつきで「宇宙船の燃料がアイスクリームだったら?」と提案しました。
その途端、子どもの目がキラキラと輝き、翌日から空き箱で「アイスクリーム燃料タンク」を作り始めたのです。
この「不完全さの魔法」こそ、人間の物語作りの醍醐味だよね。
アルゴリズムの物語に隠されたメッセージ
AIの物語を注意深く聞いていると、ときどきふと冷たさを感じることがあります。
例えば、勇敢なウサギが「非効率な友達をリストから除外」する話。
論理的には正しいけれど、心に刺さる温かさが欠けているのです。
そこで、わが家で取り入れているのは「レシピ式ストーリー作り」。
まず子どもと一緒に「変な材料」を3つ考えます(壊れた傘!踊りだすニンジン!)。
それをAIに入力する前に、「このニンジン、なぜ踊るんだろう?」「この傘、誰が忘れたんだろう?」と想像を膨らませる時間を作るのです。
すると出来上がる物語に、人間らしい温もりが加わります。
先日は「秘密基地の鍵がソフトクリーム」というアイデアで大爆笑。
「これは僕たちの変なところだね!」と子どもが誇らしげに言った姿が忘れられません。
デジタルとアナログの物語キャンプファイア
先月の停電の夜が転機になりました。
ロウソクの明かりで、妻が即興で「もしもかぐや姫が月ではなく…」と語り始めたのです。
子どもが「ドーナツ星!」と叫び、そこから3人で笑い転げながら物語を作り上げました。
電気が復旧しても、子どもは「次は月ではなくドーナツ星で続きを作ろうよ」と目を輝かせていました。
今では「アナログストーリータイム」を週に2回設けています。
折り紙で作ったキャラクターを動かしたり、影絵を使ったり。ルールは一つだけ—画面を使わず、想像力だけで物語を膨らませる。
最初は「AIの方が面白い」と言っていた子どもも、今では自分で作った変なキャラクターを誇らしげに紹介してくれます。
AIは絵の具、家族は画家
先週のある嬉しい瞬間。子どもが「AIが作ったこのロボット、僕が腕をつけてあげる!」と画用紙を切り出しました。
ただの四角いキャラクターに、ビー玉の目と針金の手足をつけたのです。
その姿を見て気づきました。AIは完璧な下絵を描くことはできるけれど、そこに命を吹き込むのは人間の役目だと。
わが家では今、「AIミックス創作」を楽しんでいます。
子どもがAIに物語のテーマを伝え、生成された基本ストーリーを家族で「改造」するのです。
飛行機が出てくれば「羽がうちわになったら?」「魔法の剣があれば「これがお箸に変身する魔法だったら?」と。
すると物語が一気に身近なものに変わります。
ある日娘が言いました。「AIってね、最初の材料をくれるだけ。美味しい料理にするのは私たちの役目なんだよ」
そう、テクノロジーは食材。愛情で調理するのは家族の仕事かもしれません。
Source: AI, art, and sound converge in holosculpture interactive artwork, Designboom, 2025/09/14 15:01:53