君が子どもたちに伝えていること

れいぞうこのドアにピンで止められた子どもの落書き。いつだって私たちの生活を見てるみたいだね。先週も、君が上の子の描いた『ママの仕事』の絵をじっと見てた。パソコンといくつもの書類がならんだデスク——きっとこの前かぜをひきながら働いてた時のようすだろう。

『こんな姿、見せたくないな』と君がつぶやいたけど、ぼくはそれこそがいいと思ってるんだ。

AIが便利なアドバイスをする時代でも、君はあえてがんばりすぎない姿を見せる。できないことだってある、それでも助け合えば大丈夫だって。スマートスピーカーが天気を教えてくれるよりずっと深い、人間だからこそ伝えられる『共に生きる術』を。

朝の電車のなかで揺れる君のリュックサック、ちょっとふくらんでることに気づいてる？水曜はすいしセット、金曜はプールの用意。『AIがおすすめのならいごと』なんて記事を見るたび、君が手帳に書きこむ予定を思い出す。

べんりなテクノロジーがあっても、最終的に上の子のぜんそくと下の子のふあんしょうをてんびんにかけるのは、朝５時に起きてくすりのじゅんびをする君のあたたかい判断だ。

このまえ、習い事を見直してた時のこと。AIのおすすめスケジュールじゃなくて、カレンダーに書いた『かぞくでいもほり』の文字に線をひいてたよね。その姿を見て、なんだか胸があつくなったよ。

このまえの週末、キッズルームからこっそりのぞいてた。子どもたちと宇宙の絵を描いてる君たちのようす。タブレットで見つけた銀河の写真を印刷して、それに自分で流れ星をかきくわえる娘。その横で、下の子のぐにゃぐにゃのロケットに『パパものせようか』とすすめる君。

テクノロジーのすごさと、子どものてのひらから生まれる素朴な世界が、君というフィルターを通してとけあってた。

AIがつくる完璧な絵よりも、君が紙の端に書いた『かぞくでうちゅうりょこう』の文字の方が、ずっとすてきに思えたんだよね。家族の物語は、テクノロジーと手のひらが織りなす最高のハーモニーなんだ。