
あの朝を覚えていますか。炊飯器がご飯を炊けなくて、子どもたちが『かまどで炊いたら?』って言った時。私は電気屋に電話しようとしてたけど、妻は子どもの隣にしゃがんで「一緒に考えてみよう」って。
AIが教育を変える話題を聞いても、実感がなかった。
やっとわかったのは——遠くの技術革新も、うちの台所の炊飯器故障も、全部つながってるってこと。
大切なのは『困った』って嘆くより、『へぇ、そうなんだ』って共に覗き込む、その一瞬の光なんだと思うんです。
‘なんでやらないの’より ‘やってみよう’
先週、エアコンのリモコンがボタン押しても反応しなかった日のこと。私はマニュアル探してる間にイライラしてたけど、妻はさりげなく『これ、探偵ごっこで直せるかな』って。
子どもの目がキラリと輝いたのが、今でも忘れられないんです。『わからない』を『一緒に探そう』に変えるその魔法、ほんとに上手ですよね。
子どもが『勉強したくない』ってぐずる時、私なら『早くしなさい』って言いそうだけど、妻は『今日どこのページが気になってる?』って聞く。その問い方ひとつで、子どもの肩の力が抜ける。
先日の雨の日、プリンターがインク切れで止まった時もそう。私は仕事の書類が間に合わない!って焦ってたけど、子どもと妻が一緒に『手書きの案内状をつくろう』って。
色鉛筆で丁寧に文字をなぞる子どもの横顔を見て——あぁ、『やる気』って叱って出てこないものだと、はじめて実感したんです。
何よりありがたいのは、自分が『失敗しちゃった』って思ってる時も、妻が自然に子どもの力を引き出してくれること。スマホのGPSが誤作動で道に迷った日、私は地図アプリとにらめっこしてた。でも妻は『地図読める子になれるチャンスだよ』って、子どもにコンパスを握らせた。
『パパも初めてだよね?』って子どもの声に、自分も学び直してるんだって気づかされました。
そんなふうに、『わからない』が『一緒にわかる』に変わる瞬間を、妻はいつも作ってくれるんです。
正解じゃなく、共に歩く道標
子どものやる気が出ない時、私なら直ぐに『こうすればいい』って教えちゃう。でも妻は『今日何が難しかった?』って聞く。あの日、算数ドリルを横に置いて泣いてた子が、妻と『つまずきポイント』を色ペンで囲んでたのを見て——答えより過程を大切にすることを学びました。
勉強机の引き出しに『困った時リスト』を貼るのも、妻が考えたんですよね。『①深呼吸 ②お母さんに聞く ③絵で描いてみる』って。子どもの小さな成功体験が、自信の種になってる。
実は先日、食器洗い機が壊れて台所が大騒ぎした時も——妻は『手洗いの方が楽しいかも』って笑いながら、子どもにスポンジを渡した。すると何と、『次はお父さんに教える』って言って台所に立つんです。この変化、奇跡だと思いませんか?
『正解』を探すんじゃなく、『次に何が起こる?』と期待する目を育ててる。勉強で躓きそうな時だって、子どもは『お母さんといっしょなら』って背筋伸ばす。その姿、本当に眩しいんです。
そういえば、雨で遠足が中止になった時、妻が屋内で『冒険ゲーム』を作ったことありましたよね。廊下に色紙の道標を貼って、各部屋でクイズ。あの日、子どもは『次のクエスト楽しみ!』って目を輝かせてた。『やらなきゃ』が『やりたい』に変わる理由、それが『共に創る楽しさ』だって気づかされました。
今日の小さな一歩が、明日を変える
昨夜、子どもの作文を添削してた時のこと。私は文字数が足りないって焦ってたけど、妻は『この絵、すごく上手だね』って。すると何と、子どもが『続き書く!』ってペンを握り直したんです。『ほめ方』じゃなく、『気づき方』を教えてもらった気がします。
勉強のやる気って、長時間机に座ることじゃない。『5分でもいい、始められた自分』を認められることで生まれてくる。それは、妻が毎日教えてくれるんです。
つい先日、息子が数学のテストで点数が低かった時——私は『これでは入れない』って厳しかった。でも妻は『どの問題がわかってた?』って聞く。その一言で、子どもが『この部分は解けた!』ってノートを広げてくれた。『できなかった』より『できた』に焦点を当てることで、また挑戦したい気持ちが芽生えたんだなって。
そういえば去年の夏、蝉の抜け殻を観察してた日。息子が『もうすぐ死ぬんだって』って寂しそうに、妻は『新しい体になって飛び立つんだよ』って。子どもの目が『へぇ~』って変わって。今思うと、『終わり』を『始まり』に見せる力が、子どものやる気を支えてる。
炊飯器の故障が『かまどチャレンジ』になり、雨で困った日が『室内冒険』になったあの日から——技術の進化も故障も全部、子どもの成長の土台に変えてしまう妻が、ほんとに尊敬できます。『やる気を出す』んじゃなく、『自分からやってみたくなる』環境を、そっと作ってくれる。そのさりげない強さが、何より子どもを育んでるんだなって。今日も、妻が子どもと囁いてる言葉が、明日を変えていくんだと——そう確信しながら、静かに見守らせてください。