
昨夜、寝かしつけを終えた妻がソファでつぶやいた「今日も絵本、読めなかったな」という言葉が胸に引っかかっています。冷蔵庫には保育園からのお便り、テーブルには未処理の書類。そんな毎日を送りながら、私たちが気づいたことがありました。
「できる親」幻想との決別
駅へ向かう妻の背中を見送る朝。エレベーターの鏡に映った自分がネクタイを直しながら、ふと考えました。いつから完璧な親じゃないとダメだと思っちゃったんだろう?
あの日、帰宅した妻が子供の寝顔にそっと触れる仕草を見た時、デジタル絵本では補えない時間を、こうして埋めようとしているのだと気づいたのです。
育児書が推奨する理想的なスケジュールなど守れなくても、お風呂で子供と笑い合うたった10分間が、かけがえのない記憶になることを知りました。
SNSにあふれる『完璧なワーママ』像より、私たちの普通の暮らしの温かさのほうがずっと好きなんだ。
すれ違いの時間が紡ぐもの
洗濯物と書類が同居するダイニングテーブル。この混沌こそが今の私たちだと受け入れる勇気について考えます。
先週、出張先から送られてきた『ただいまって言いたい』というメッセージ。それを見て子供が『ママも寂しいんだね』とつぶやいた言葉が、胸に刺さりました。
仕事と育児の板挟みで、どちらも中途半端に感じる夜もあります。でも、妻が録音したおやすみメッセージを子供が抱えて寝る姿を見る時、この選択は間違っていないと確信するのです。
すれ違う時間さえも、愛情で紡いでいけることを教えてくれたのは子供たちでした。
不完全さこそ最高の教科書
仕事用の書類を間違えてシュレッダーにかけてしまった日。妻が『パパの失敗も子供にとってはいいお手本だよ』と笑った言葉が忘れられません。効率的な子育てよりも、ありのままの姿を見せることが大切なのだと気づかされました。
キャリアを積む妻の背中と、時折涙ぐみながらも保育園の準備をする姿。その両方を見せることが、子供への最高の贈り物なのです。
洗濯物を畳みながら今日の失敗談を話し合う、そんな普通の夜が積み重なって家族の歴史になっていくのでしょう。
明日を信じて歩むために
今夜も洗濯物は山積みかもしれません。でも子供が寝静まったら、たとえ5分でもいい。洗濯物より先に妻の手を握り『今日も本当に頑張ったね』と伝えようと思います。
完璧なバランスなど存在しなくていい。お互いの小さな努力を認め合うこと、それこそが働きながら子育てをする家族を支える本当の力だと信じて。
今日も仕事も育児も大変でも、明日また子供の手を握りながら進もうと思うんだ。
洗濯物を畳みながら今日の小さな失敗を話したら、子供が『パパいいお手本だね』って笑ったんだ。それだけで元気出たよ。